「着物を自分で着てみたいけれど、着付けが難しそう…」
そんな不安を抱えている着物初心者の方も多いのではないでしょうか。確かに着物の着付けには手順がありますが、基本をしっかりと覚えれば、誰でも美しく着物を着ることができます。
この記事では、着物の基本的な着付け手順を、初心者の方にもわかりやすく段階別に解説します。必要な道具から仕上げのポイントまで、自分で着物を着られるようになりましょう。
着付けに必要な道具一覧
基本の着物セット
- 着物(訪問着・小紋など)
- 長襦袢(着物の下に着る下着)
- 帯(袋帯・名古屋帯など)
- 足袋(白または薄い色)
着付け小物
- 肌襦袢・裾よけ または ワンピース肌着
- 腰紐 5〜6本
- 伊達締め 2本
- 帯板(前板)
- 帯枕
- 帯揚げ
- 帯締め
あると便利な道具
- 補正用タオル 2〜3枚
- コーリンベルト
- 衿芯
- 三重紐(飾り結びの場合)
着付け前の準備
1. 体型補正
美しい着物姿には、寸胴な体型が理想的です。
補正のポイント:
- ウエストのくびれをタオルで埋める
- 胸の下にタオルを当てて胸の位置を下げる
- 腰回りを厚めにして安定感を出す
2. 髪型を整える
着付けの前に髪をまとめておきましょう。うなじが美しく見えるアップスタイルがおすすめです。
3. 足袋を履く
着付けの最初に足袋を履きます。着物を着てからだと履きにくくなるためです。
着付け手順:肌着・長襦袢編
ステップ1:肌着の着用
- 肌襦袢を着て、胸元で合わせる
- 裾よけを腰に巻く(ワンピース型の場合はそのまま)
- 下着のラインが着物に響かないよう調整
ステップ2:長襦袢の着用
- 長襦袢を羽織り、背中心を合わせる
- 衿芯を衿に通す
- 左右の衿を合わせ、喉のくぼみが見える程度に開く
- 腰紐で胸の下あたりを締める
- 伊達締めで胸元を安定させる
ポイント:
- 衿は首に沿わせ、後ろは握りこぶし1個分開ける
- 裾は着物より2〜3cm短めに調整
着付け手順:着物編
ステップ3:着物を羽織る
- 着物を羽織り、背中心を背骨に合わせる
- 衿先を持って全体の位置を決める
- 着丈を確認(くるぶしが隠れる程度)
ステップ4:裾合わせ
- 右の衿先を持ち、足首にかかる長さに調整
- 左の衿先を持ち、右衿の上に重ねる
- 歩きやすいよう、左の裾を少し短めに
- 腰紐でしっかりと固定
注意点:
- 右衿が上に来ると「死装束」になるので絶対に避ける
- 左衿が上(左前)が正しい着方
ステップ5:おはしょり作り
- 胴回りの余った部分を引き上げる
- おはしょり(腰の折り返し部分)を均等に整える
- 長さは7〜8cm程度が美しい
- 腰紐で胴の一番細い部分を締める
ステップ6:衿合わせ
- 長襦袢の衿を先に整える
- 着物の衿を重ね、Vネックの形に
- 後ろ衿は握りこぶし1.5個分開ける
- 伊達締めで胸元を固定
美しい衿元のコツ:
- 鎖骨のくぼみが少し見える程度
- 左右対称になるよう注意
- 後ろから見て衿が「く」の字型
帯結び:お太鼓結び編
ステップ7:帯の準備
- 帯板を胴に当てる
- 帯の「て」(短い方)を左脇に当てる
- 「て」の長さは60cm程度確保
ステップ8:帯を巻く
- 時計回りに帯を2回巻く
- 1回目は締めすぎず、2回目でしっかりと
- 「て」と「たれ」(長い方)の位置を確認
ステップ9:お太鼓結び
- 帯枕にガーゼを巻いて準備
- 「たれ」でお太鼓の輪を作る
- 帯枕を中に入れ、紐で前で結ぶ
- 「て」を上に上げ、お太鼓の中を通す
- 「て」を下に引き、帯締めで固定
ステップ10:仕上げ
- 帯揚げを帯枕の紐を隠すように巻く
- 帯締めを真ん中で結ぶ
- お太鼓の形と位置を最終調整
- 全体のバランスを確認
着付けのコツとポイント
美しい着姿のための重要ポイント
1. 背中心を意識する
- 着物の背中心が背骨の真ん中に来るよう常に意識
- 歩く時も背中心がずれないよう注意
2. 紐の締め方
- 腰紐:骨盤の一番高い位置で締める
- 伊達締め:胸の下、みぞおちあたりで締める
- 強く締めすぎず、指1本入る程度の余裕を
3. おはしょりの整え方
- 前後の長さを均等に
- シワができないよう丁寧に整える
- 腰紐でしっかり固定してからおはしょりを作る
4. 衿元の美しさ
- 長襦袢の衿が2〜3cm見えるのが理想
- 後ろ衿は季節や年齢に応じて調整
- 衿元がゆるまないよう伊達締めでしっかり固定
よくある着付けの失敗と対策
問題1:おはしょりが決まらない
原因:腰紐の位置が悪い、着丈が合わない 対策:腰紐を骨盤の高い位置で締め直す
問題2:衿がゆるんでくる
原因:伊達締めが甘い、補正が不十分 対策:伊達締めをしっかり締め、補正を見直す
問題3:帯が下がってくる
原因:帯板の位置が悪い、締め方が甘い 対策:帯板を正しい位置に、帯をしっかり締める
問題4:歩きにくい
原因:裾が長すぎる、腰紐が強すぎる 対策:裾の長さを調整、腰紐の締め具合を見直す
着付け後のチェックポイント
前から見たチェック
- [ ] 左衿が上になっている(左前)
- [ ] 衿元が美しいVラインになっている
- [ ] おはしょりの長さが均等(7〜8cm)
- [ ] 帯の位置が正しい(胴の一番細い部分)
- [ ] 裾の長さが適切(くるぶしが隠れる程度)
後ろから見たチェック
- [ ] 背中心が真っ直ぐ通っている
- [ ] 後ろ衿の開き具合が適切
- [ ] お太鼓の形が整っている
- [ ] 帯揚げが美しく収まっている
横から見たチェック
- [ ] 全体のシルエットが美しい
- [ ] 帯の角度が正しい
- [ ] 前後のバランスが良い
着付けの練習方法
1. まずは順番を覚える
文字で手順を覚えてから実践に移りましょう。
2. 時間を測って練習
慣れてきたら30分以内で着られるよう練習します。
3. 鏡を見ながら調整
三面鏡があると後ろ姿も確認しやすくなります。
4. 動画や教室も活用
着付け教室やYouTube動画も参考になります。
初心者におすすめの着付けアイテム
時短アイテム
- コーリンベルト:衿元の固定が簡単
- 着付けベルト:腰紐の代わりに使用
- ワンタッチ帯:結び帯が簡単
補正アイテム
- 着付け用ブラジャー:胸の形を整える
- 補正パッド:体型を美しく見せる
- ウエストベルト:寸胴効果
まとめ
着物の着付けは、基本の手順をしっかりと覚えることから始まります。
着付け成功のポイント:
- 準備を丁寧に:道具を揃え、体型補正をしっかりと
- 順番を守る:肌着→長襦袢→着物→帯の順番で
- 練習を重ねる:繰り返し練習することで上達
- 焦らずゆっくりと:最初は時間をかけて丁寧に
最初は時間がかかっても、練習を重ねることで必ず上達します。美しい着物姿で、素敵な和装ライフを楽しんでくださいね。
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